ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
イザヤは、一瞬キョトンとしたが、しばしの間のあとに、また笑った。

「そうかもしれないな。それが目的ではなかったが、実に痛快だ。……まいら。早くオトナになれ。私はそなたが気に入っている。」


「……何か、家畜の気分。食べられるために餌を過剰に与えられて太らされるみたい。」

気に入っている、と言われてうれしい気持ちを、私はそんな風に隠した。


イザヤの瞳があま~くキラキラと輝く。

「まいらは、家畜というよりは愛玩物だ。今は鳥のいざやとそう変わらんが、数年後には、昼も夜も手放せない存在になる。」


まるで予言のような断言に、私は反論することもできず、途方に暮れた。



***


ティガは家庭教師には向かないと思う。

机に向かってじっとしていることができないリタにため息はつくけれど、結局、放置してるし。


「無理やり椅子に縛り付けても効果はありませんからね。リタに向学心が出るまで、待ちましょう。まいらは、物覚えが早いですね。……そう言えば、記憶力に自信がある、と言ってましたね。」


確かにそう言った。

まあ、未だにお父さんには百人一首も神経衰弱も勝てないけれど、たぶん水準以上には覚えが早いはずだ。



「じゃあ、リタの興味のある勉強、しよっか?何がいい?」

リタにはすっかり嫌われてしまったけれど、私はなるべくなら仲良くなりたいので、それまで通りに話しかけた。

媚びることはできないけど、卑屈になりたくないし、苦手意識も抱きたくない。



「……剣術。」

リタは私をじっと見てそう言った。



……ボコボコにしてやるって意味かしら。



「リタ!いい加減になさい!」

ティガは怒ったけれど、私は同意した。

「ティガ。私も習いたい。この国がカピトーリに攻められない保証はないし。自分の身は自分で守りたい。……剣術?教えてもらえる?」


リタの黄緑色の瞳が好戦的にキラキラと輝いた。



ティガはため息をついて天を仰いだ。

「わかりました、と言いたいところですが、私は基礎しかお教えできません。」


「いいよ。それで。」

リタは鼻息荒く立ち上がった。


ティガに言われるままに、私はパンツスーツのような服に着替えさせられた。


軽い。

この素材、マジで楽ちん。


リタがいつも来てる布と同じ素材なのかな?

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