ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
う!眩しい!

ドラコは鎧を装備して、ヘルムだけを小脇に抱えていた。

血を流した鎧は純金か!?ってぐらい、キンキラキン。

夕日が反射して、目がくらみそう。



「ドラコ。リタは今朝から高熱を出して寝込んでいます。」

ティガがそう言うと、ドラコは息をついた。

「そうか。大事にしてやってくれ。私は明朝には発つ。」


ドラコもまた、湖面を眺めた。



……聞けない。

てか、信じられない。

この高潔そうな好青年のドラコがリタに害を及ぼすとはとても考えられなかった。




「馬だ。」

ドラコがそう呟いた。


「ああ。イザヤどのでしょう。」


ティガの言う通り、白馬でイザヤがこちらに向かってくるのが見えた。

相変わらず汚れ1つない白い軍服のイザヤは超絶かっこいいんだけど……本物の戦う騎士様を見たあとには、何となく道化じみて見えた。


いや、ドラコ、マジでかっこいいし。

容姿だけじゃなくて、中身も。



イザヤは、ひらりと馬から降りると、一直線に私へ突進してきた。


……えーと……うれしいけどさ、先にドラコに挨拶しなきゃいけないと思うよ?



「まいら!心配したぞ。私の許可なく館から出るな。」

イザヤはそう言って、胸元から鳥の伊邪耶を出して、私にそっと渡した。


「マイラ。マイラ。マイラ。」

伊邪耶が私の名前を連呼した。



この声……イザヤの声だ。


何かくすぐったい気持ちで、鳥の伊邪耶に頬をすりつけた。




「イザヤ。突然、悪いな。今夜泊めてくれ。」

ドラコが右手を差し出して、爽やかにそう言った。


「ほんとに突然だな。早過ぎないか?どうした?カピトーリが北から攻められたか?」

イザヤはドラコの手をガッチリ握って、たぶん冗談のつもりでそう言った。


「いや。軍事行動じゃない。政治の都合だ。……イザヤも覚悟しとけよ。いよいよ君たちに、協力してもらうことになるだろうよ。」


ドラコがそう言うと、イザヤはあからさまに嫌な顔をしてみせた。


「近衛騎士団は、役にたたないぞ。」

情けないことを、イザヤは偉そうに言った。



ティガは薄笑いを浮かべ、ドラコは真面目にうなずいた。

「わかっているさ。前線で役に立つのはイザヤ団長だけだろうよ。でも、オーゼラの近衛騎士団も、カピトーリの宮廷警護ぐらいはできるだろう?」



……いやいやいや。

できるできないの問題じゃなく、それ、屈辱かも。


何で他国の王族を守らなきゃいけないのよ。

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