ここはディストピア あなたは亡国の騎士 わたしは愛玩物
と、私が苛立ったぐらいだもん。
当然、イザヤの目に怒りの火が灯った。
瞳の中に青い炎がゆらめいているようだ。
「ドラコ。正式な要請なら、オーゼラ王を通さないと、イザヤどのに失礼ですよ。」
見かねたティガが、やんわりとたしなめた。
ドラコは、ティガとイザヤを順に見て、慌てて頭を下げた。
「すまん。失敬した。」
失言に気づいて、己を恥じて謝るドラコは、やっぱり潔くてかっこよく見えた。
***
その夜は、急遽、晩餐会となった。
私は、イザヤの作ってくれた淡い水色のドレスに身を包んで食事をした。
わっかの骨が入ってるらしく、大きく広がったスカートは床をモップのように引きずるほどに長かった。
首や肩はシンプルなラインだが、腕の上部にかけて袖が優雅に膨らんでいた。
ロマン主義後期のドレスのイメージかな?
胸があると、もっと似合うんだろうなあ。
「なんだ。リタは来ないのか。」
たぶん嫌がらせも込めて、イザヤはわざわざそう尋ねた。
「高熱で休んでます。」
ティガがそう答えると、イザヤは、ふーんと興味なさそうに相づちを打ち、鳩の胸肉を切りながら言った。
「鳩はリタの好物だったろう。後で届けてやれ。」
「……ありがとうございます。」
ティガは一応そう言ったけど、失笑が伝わってきた。
ドラコは目を伏せて、黙々と食べていた。
イザヤの馬鹿。
何でわざわざ場の空気を悪くするかな。
確かに、鳩は絶品だけどさ。
リタ、どうしてるのかな。
後で、覗いてみようかな。
***
「イザヤ。笛を聞かせてくれないか。」
食後に、ドラコがそんなことを言い出した。
イザヤの表情がパッと輝く。
「笛、か。リードの準備ができてないから、ガボーイは少し時間がかかるぞ。フリェーイタでよいか?それとも、」
「こだわりはない。任せる。……戦場の夜、そなたの笛があれば兵士の慰めになるだろうと幾度となく思った。」
ドラコはそう言って、テーブルに肘をつけて両手を組むと、目を閉じて何か祈りの言葉っぽいものをつぶやいた。
すると、ティガも同じように祈り出した。
綺麗だなあ……。
精巧な等身大フィギュアのような2人がバシバシのまつげを伏せて祈ってる姿は、夢のように美しかった。
イザヤは祈る2人を置いて、いそいそと笛の準備をしに向かった。
……と思ったら、すぐに戻ってきて、私に言った。
「まいら。テレマン。」
当然、イザヤの目に怒りの火が灯った。
瞳の中に青い炎がゆらめいているようだ。
「ドラコ。正式な要請なら、オーゼラ王を通さないと、イザヤどのに失礼ですよ。」
見かねたティガが、やんわりとたしなめた。
ドラコは、ティガとイザヤを順に見て、慌てて頭を下げた。
「すまん。失敬した。」
失言に気づいて、己を恥じて謝るドラコは、やっぱり潔くてかっこよく見えた。
***
その夜は、急遽、晩餐会となった。
私は、イザヤの作ってくれた淡い水色のドレスに身を包んで食事をした。
わっかの骨が入ってるらしく、大きく広がったスカートは床をモップのように引きずるほどに長かった。
首や肩はシンプルなラインだが、腕の上部にかけて袖が優雅に膨らんでいた。
ロマン主義後期のドレスのイメージかな?
胸があると、もっと似合うんだろうなあ。
「なんだ。リタは来ないのか。」
たぶん嫌がらせも込めて、イザヤはわざわざそう尋ねた。
「高熱で休んでます。」
ティガがそう答えると、イザヤは、ふーんと興味なさそうに相づちを打ち、鳩の胸肉を切りながら言った。
「鳩はリタの好物だったろう。後で届けてやれ。」
「……ありがとうございます。」
ティガは一応そう言ったけど、失笑が伝わってきた。
ドラコは目を伏せて、黙々と食べていた。
イザヤの馬鹿。
何でわざわざ場の空気を悪くするかな。
確かに、鳩は絶品だけどさ。
リタ、どうしてるのかな。
後で、覗いてみようかな。
***
「イザヤ。笛を聞かせてくれないか。」
食後に、ドラコがそんなことを言い出した。
イザヤの表情がパッと輝く。
「笛、か。リードの準備ができてないから、ガボーイは少し時間がかかるぞ。フリェーイタでよいか?それとも、」
「こだわりはない。任せる。……戦場の夜、そなたの笛があれば兵士の慰めになるだろうと幾度となく思った。」
ドラコはそう言って、テーブルに肘をつけて両手を組むと、目を閉じて何か祈りの言葉っぽいものをつぶやいた。
すると、ティガも同じように祈り出した。
綺麗だなあ……。
精巧な等身大フィギュアのような2人がバシバシのまつげを伏せて祈ってる姿は、夢のように美しかった。
イザヤは祈る2人を置いて、いそいそと笛の準備をしに向かった。
……と思ったら、すぐに戻ってきて、私に言った。
「まいら。テレマン。」