クールなオオカミの過剰な溺愛



「わ、わかった…」

「うん、ありがとう。
夏原さんはやっぱり優しいね」


よくそんなことを平気で言えるものだ。
断れない状況を作ったくせに。

けれど水瀬くんは一切表情を変えず、さわやかな笑顔のまま持ってきた箒を渡された。



「はい、一緒に頑張ろうね」
「……悪魔」

「ん?何か言った?」
「言ってないですよ!」


この地獄耳のクズ男め。
結局何も変わっていないじゃないか。

一瞬上がりかけた好感度を返してほしい。


ただ少し、少しだけ。

水瀬くんの雰囲気が先ほどよりも明るくなったような気がした。



「ねぇ、水瀬く…」
「口動かしてないで手を動かすべきじゃないかな?」

「……っ」

ひ、ひどい。
自分から掃除しろと巻き込んでおいて、そんなことを言うのか。

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