クールなオオカミの過剰な溺愛
これも全部煌哉の作戦だろうかとすら考えてしまう。
彼は賢いから、私に意識させるよう仕向けたとか。
もしそうだとして、まんまと引っかかっているわけである。
「俺の今の気持ち、教えてやろうか?」
「な、何よ…」
いきなり女みたいな格好して、バカみたいだとでも言うのだろうか。
言い返す準備をして、構えながら彼の言葉を待っていたら───
「すっげぇ我慢してる」
「…っ」
「誘惑されているようにしか思えねぇんだけど」
シャーペンを走らせる手が完全に止まり、私を見つめる煌哉。
野性的な瞳。
今すぐにも飛びつかれそうだ。
「ゆ、誘惑とかバカじゃないの…!」
慌てて視線を自分のノートへと戻し、問題を解こうとするけれど。
「……千紗」
彼がそれを許してくれない。
額をくっつけられ、ふたりの距離が近くなる。