クールなオオカミの過剰な溺愛
「俺よりラーメン?」
「……うん」
「じゃあ手の力抜けよ」
「……っ、やだ。まだ着いてない」
ぎゅーっとさらに力を込めて、煌哉の手を離してやらない。
「もうすぐそこだけど」
煌哉の視線の先には目的地であるラーメン屋さんが見えている。
「ギリギリまでいいじゃんか、ケチ」
「……本当にかわいいんだな」
「軽い男、昔はキスばっかしてたくせに」
「あれは昔の話」
うん、それはわかってる。
さっきの言葉で十分伝わった。
私を独り占めしたいって、あんな風に堂々と言ってきたのだ。
正直びっくりしたけれど、それ以上の嬉しさがこみ上げてきたのだから不思議である。
「とりあえず今はラーメン食べたいんだろ?」
「……食べる、大盛り選んでやる」
「俺が奢る設定なんだ?」
「煌哉が私の機嫌損ねたから」
なんて、ただの言い訳に過ぎず。
照れ隠しである。