クールなオオカミの過剰な溺愛



こんな面白味のない女、すぐに飽きられてしまいそうだ。


「何回も言ってるだろ?
俺には千紗しか興味ねぇって」

「……私を好きでも良いことないよ?」

「いいことしかねぇよ。千紗の隣でずっと元気をもらえて、幸せな日々を送れんだ」


それは本当に?
煌哉は私といると幸せを感じられるの?


「じゃあ、どこにも行かない?」


繋がらない寂しい手を紛らわすように、煌哉のシャツの裾をまた掴む。

こんなのバレバレな感情だ。


「千紗ってバレバレな言い方するよな」
「……っ」

ほら、煌哉にも簡単にバレてしまっている。


「俺が千紗を置いてどっかに行くと思うか?」
「だ、だって…高校卒業したら家出るんでしょ?」


そんなの遠距離恋愛になってしまう。

離れている間も、煌哉は心変わりしないだろうかって不安だ。

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