クールなオオカミの過剰な溺愛



「俺、そんなに信頼されてねぇんだな」
「ち、ちがっ…」

「でも仕方ねぇか。
昔遊んでたのは事実だし」


改札を通ってから間も無くして、電車がやってきた。
それに乗り込んだ後は、お互い口を開くことがなく。

まだ話の途中だったけれど切れてしまった。


もしかして、煌哉を怒らせてしまったのだろうか。
私が不安ばかり零すから。

呆れられてしまっただろうか。


不安に思っていたら、突然煌哉が私の手を力強く握ってきた。


「……っ」
「大丈夫だから」

「うん…」


煌哉が言うのだから大丈夫だ。

私の不安が彼に伝わってしまったため、これはダメだと思い空いている手で頬を叩いた。



それから間もなくして、家の最寄りへと着いた電車を降りる私たち。

外はもう真っ暗で、街灯を頼りに夜道を歩く。

< 290 / 300 >

この作品をシェア

pagetop