太陽と月
陽介はいつかも言っていた。


大切な人を守る為に武道をしていると。私は陽介に取って大切な人でいいのかな?そう思った。


私なんて大切にされる程の価値はない。


そんな事思っていたら自然と目尻に涙が浮かんできた。


そんな私をみて

「どうした?どっか傷むのか?」心配そうに私を見る目。


どこまでも優しい陽介。


「…ち違うよ…私何も…出来なかった…よっ…陽介がやられてるのになっ何も…でっ出来なかった」泣いている所為で口が上手く回らない。


そんな泣きじゃくる私の手を優しく握ってくれた。


「そんな事ないよ。椿がいたから俺は武道というものを、大切な人の為に使えたんだ。もし、椿が居なかったら俺は武道で誰かを傷つけていたかも知れない」そう笑ってくれた。


私は泣きじゃくる事しか出来なかった。こんなにも、醜い私を守ってくれた陽介がたまらなく愛おしいと思った。
< 114 / 230 >

この作品をシェア

pagetop