太陽と月
陽介に誘われた私は迷った。
今日は色々あって疲れたから本音はもう部屋に戻って休みたい。
でも、少しの罪悪感があった私はその誘いを承諾した。
「では、今日はこれで終わりにしましょう」河口さんは微笑み道場を後にした。
「じゃあ、椿着替えたら玄関に降りて来て」そう言って陽介も道場から出て行った。
「お待たせ」私は部屋に戻り服に着替えて、玄関に降りて行った。
「おう!じゃあ行くべ!」陽介が明るく言ってドアを開けた。
「おっと…颯介!お帰り!」丁度ドアを開けたタイミングで颯介が帰って来た。
陽介越しに颯介と目が合う。
私は今日の出来事を思い出し、何だか恥ずかしくなり思わず目を逸らしてしまった。
そんな私を気にする素振りを見せない颯介は
「ただいま。出掛けんの?」と陽介に聞く。
「おう!ちょっと散歩!颯介も行く?」と陽介が誘ったけど
「行かないよ」予想通り断る颯介。
「そっか!じゃあ椿行こ!」
私は頷き颯介の横を通り過ぎようとした時、耳元で颯介の声が聞こえた。
“月が出たら…待ってる”
それだけ言うと、リビングに消えて行った。