太陽と月

「ずっと傍に居てくれる・・?」



私の問いかけに対して



「椿が望むなら」



目を離さず言う。



「約束してくれる?私を捨てないって」



「捨てないよ。もし・・・椿を捨てたいと思った時は、もう2度悲しい思いをしない様に・・・その時は殺してあげる。そうすれば悲しいって言う感情は持つ事出来ないでしょ?そして・・・その後に、僕も椿の後を追って死ぬよ」



そう言って声を出して笑う颯介。



とても残酷な言葉を吐いているのに私は、何よりも信頼できる”約束”だと思った。



「だから椿も、僕と交わした約束守ってね?」



“大人になったら母親を殺しに行こう”



残酷で醜い約束。



どちらからでも無く、お互いの小指を絡ませ合った。



「「約束だよ――――――」」


私は貴方との約束だけは守りたいそう思っていたんだよ。








朝起きて、リビングに行くと陽介と颯介が既に座っていた。おはようと挨拶をする私に、陽介は明るく、おはようと返事をしてくれた。颯介は、相変わらず目を合わす事も、返事をしてくれる事も無かった。今までだったら落ち込んでいたけど、もう落ち込まない。



だって私達には、”残酷で醜い約束”を交わしたから――――――。
それは2人だけの秘密-------
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