太陽と月

きっとまた月の出る夜になると颯介は私の存在を認めて、話してくれる。

そう確信をしていた。









「椿!一緒に学校いこ!」陽介が笑顔で声をかけてくる。



「いや・・・だから・・・」

出来たら一緒に住んでいることは知られたくない。



「え~!いいじゃん!兄弟じゃなくて従兄妹で一緒に暮らしてるって言えば!」そう口を尖らせる陽介に思わず笑ってしまった。



「う~ん・・・!まぁいいか!」

もう誰に何を思われても良いと思えた。それはきっと、颯介との約束があるから。



陽介、信也さんとの約束を忘れた訳じゃないけど、何よりも颯介との約束が私を強くする。





「椿は何かクラブ入るの?」二人で学校までの道のりを歩く中、颯介に聞かれた。



「う~ん・・・。河口さんの練習や雨宮さんとの勉強もあるからな~」

そう考える私に



「時間は融通してくれるよ!だから俺はバスケ部!そうだ!椿、女バスに入りなよ!」そう言いながら両手でシュートのポーズを取る。



「バスケか・・・。ちょっと考えてみるね!」そう言いながら、美月は何かクラブに入るのかな?学校に着いたら聞いてみようと思った。



2人で他愛ない話をしていると、周りの生徒達がコチラを見てヒソヒソ話しているのが聞こえた。



「ほら、昨日の・・・あの2人どんな関係性?女の子って捨て子でしょ~」だいたいこんな話ばかりだった。

私は、たまらず下を向く。そんな時、颯介との約束が頭に響く。

私は小さく深呼吸をした。



“あんた達には関係のない事だ!うるさい!”そう言おうと決意をした。

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