太陽と月


結局、6時間目の授業には間に合わなかったけど、放課後に行っている体育祭の練習には参加した。


クラスメイトから浮いてる私には苦痛で仕方なかったけど、生徒会として張り切っている陽介を見てると、私も頑張ろうと思った。


「ねー聞いたー?最後のリレー西園兄妹の対決なんだってー」


「マジでー?どっちが勝つんだろうねー?」


美月がいないので、1人で校庭の隅っこにポツンと立っていると、クラスの女子達が和気あいあいと話してるのが聞こえた。


「ほんとかっこいいよねー!ねぇー!どっち派?」


「うーーん。ムードメーカーの陽介先輩も格好いいけど、クールな颯介先輩も捨てがたいよねー」
と2人を評価し始めた。


2人はモテるんだなーと思っていると


私の方を見ながら悪意ある言葉が聞こえた。


「ってか従兄弟か何か知らないけど調子のってるよねー」


「つーか捨て子とかあり得ないんだけどー」と馬鹿にした笑い声も聞こえてきた。


ここで、美月なら言い返すんだろうけど、私はグッと我慢をした。


いや、勇気がないだけだ。


握りこぶしを作って目を瞑る。
見たくなかった。聞きたくなかった。


結局、何も言い返す事なく体育祭の練習は終わった。



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