大人の女に手を出さないで下さい

「だれもそんなこと言ってないだろ?いくつになっても恋愛していいじゃないか」

珍しく噛みつくように訴える梨香子に英隆は少し面食らう。
相当鬱憤が溜まってるらしい。宥めてみても梨香子は自分でワインを注いで煽るばかりだ。

「あなたはいいわよ、幾つになってもモテモテで。私と別れた後に付き合ったのはみんな20代らしいじゃない。いくらでも若い子と結婚できるわ」

「それ今関係あるか?」

「あるわよ!男は幾つになっても若い子と結婚すれば子供も望める。でも私はもう無理!女にはタイムリミットがあるのよ!」

「梨香子は子供が欲しいのか?」

「違うわよ!蒼士くんの立場を考えたら…それでなくても私と付き合ったら一生蒼士くんは子供を望めないし三雲オーナーに孫の顔も見せられない…それに私は先に年老いてく、年齢差は埋められない…」

勢いを無くして項垂れる梨香子が痛々しい。
やはり蒼士と付き合うには苦悩が付いて回る。
今まで恋愛もせずに一人で英梨紗と店を守ってきた梨香子には荷が重いのだ。

「なら、断ればいいだろ。そうやって思い悩む梨香子を誰も見たくないと思うぞ?」

「簡単なこと言わないで…」

何度も断ってきた。
それでも蒼士はめげずに梨香子を好きだと言ってくれる。
それに絆され蒼士といると居心地がよくて、もう少しだけもう少しだけと蒼士との付き合いを続けていくうちに心はどんどん蒼士を好きになっていた。
この2カ月蒼士と会えない日が続いて寂しいと感じても、愛想を尽かされたと周りに噂されるようになってトミちゃんたちまで心配かけたけど、平気なふりをしてフラれて当然と自分に言い聞かせていた。
気持ちだけが大きく膨らんで誰にも相談できずどうしたらいいかなんて今でも分からない。
逢いたい気持ちはある。
けど、愛想を尽かされ無情にも去っていく蒼士を思い浮かべると胸が痛い。
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