大人の女に手を出さないで下さい
「ねえ、蒼士くん、リカちゃんの事好きでしょ?」

「は?え?いやっ…」

慌てた蒼士はそんなわけはない!とんでもない!とぶんぶん首を横に振る。
しかし、したり顔のトミちゃんは妖艶な雰囲気を醸し出しずいっと迫ってきた。

「あの元倉って人もリカちゃんに気があるみたいよ」

「えっ!?」

驚愕してる蒼士を前にトミちゃんはぶはっと噴き出した。

「あっはは!蒼士くん凄い顔してるわよ~!あたしに嘘ついてもすぐわかっちゃうんだから!今恋する少年みたいな顔してるわよ」

「ええっ!」

蒼士は思わず自分の顔を手で触ると、「どうぞ」と一段低い声が耳に届いた。
見ればマスターが真顔でマティーニを差し出してくる。
さっきと雰囲気違うくないか?
取り敢えずは気を落ち着かせようとマティーニを一気飲みするとむせてしまってゲホゲホと咳き込んでしまう。
オカシイ、酒には強いはずなのに何動揺してんだ俺は!
あらあらとトミちゃんに背中を摩られマスターが水を出してくれた。
出された水をゴクゴク飲んでふう~っと大きく深呼吸する。

「蒼士くん可愛い~!やっぱリカちゃんには蒼士くんみたいな純情くんの方がいいかしら」

「な、なんなんですか?俺は何も!別に国永さんの事は…」

ただ、気になっただけだ。
確かに彼女は綺麗で大人の女で素敵な人だと思うがだいぶ年上で既に結婚もしてるはず。
昨日初めて会ったのにそんな彼女を好きだなんてなるわけない。

「あらそお?てっきりあたしは蒼士くんがリカちゃんの事一目惚れしたんだと思ったんだけど。だから今日も来てリカちゃんに近付く男が気になったんでしょ?」

「一目惚れ…」

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