大人の女に手を出さないで下さい
「………はあ~」
やってしまった。
気持ちが先走り過ぎて梨香子を幻滅させてしまっただろうか?
今までの我慢が祟ったのか、いくら梨香子を抱いても足りなくて何かに急立てられるように梨香子を追い求めてしまう。
二人きりになると理性が効かなくて自分で自分が恐ろしいと思う。
蒼士また深いため息をこぼしカランと氷の鳴るウイスキーをあおり外を眺めた。
ここは泊まってるホテルの最上階にあるバー。
窓の外にはライトアップされたエッフェル塔が見える絶好のロケーションだ。
梨香子と一緒に見たかったとつい思ってしまう。
「おや、今夜は一人なのかい?」
気怠げにカウンターに肘を着いていた蒼士は隣に遠慮なく座ってきた奥野にムッとしながら姿勢を正した。
「彼女ならもう先に休んでます」
「ふーん、そう」
奥野は楽しそうに笑って蒼士と同じウイスキーを注文した。
なんだか笑われてるみたいで蒼士は面白くない。
「…何が面白いんですか」
「ん?いや、君たち二人を見てると面白いよ」
「はあ?」
蒼士が剣呑な目を向けても奥野はクツクツと笑ってウイスキーを呑んだ。
「君たち二人の温度差が傍から見てると微笑ましいと思ってるんだよ」
「温度差?」
「そう、彼女にぞっこんだよね君。それに彼女はうんざりしてる」
「え…うんざり…」
先程のこともあり蒼士はその言葉にショックを受けた。