大人の女に手を出さないで下さい
愕然としてる蒼士に流石に言い過ぎたかと奥野は繕う。

「いや、うんざりは言い過ぎた。嫌がってるわけじゃないと思うよ。君の熱量に付いてけない感じかな彼女は」

「付いてけない…」

それもショックを受けてる蒼士に奥野は苦笑いするしかない。
この二人、何かあったのか?と勘ぐってしまう。

「君は若いが彼女は俺と同じくらいだろう?大人の女性はこの歳になると激しい恋愛より静かな恋愛を好むものだよ。君が熱を上げれば上げるほど彼女はついて行けなくて疲れてしまうんじゃないかな」

「……」

ついに項垂れてしまった蒼士に奥野も困ってしまった。
余計な事を言ってしまったと後悔し始めたとき蒼士がポツリと言葉を零した。

「一目惚れだったんですよ…」

「え?」

「梨香子さんと初めて会ったとき初めて一目惚れしたんです。それから歳のことや俺の立場を気にしてつれない彼女をどうにか振り向かせてやっとの思いで婚約までこぎつけたんですよ。自分の気持ちばかり逸って彼女が逃げ腰なのは分かってるつもりだけど、でも、捕まえたそばからすり抜けて行くような人だから…繋ぎ留めておきたくて空回りばかりで、こんなにたった一人を追い求めたことも初めてで気持ちは大きくなるばかりで自制が効かなくて困ってるところです」

一気に話し終えると蒼士は残りのウイスキーを飲み干し奥野を横目で見遣る。

「それに彼女意外とモテるから…」

その言葉におや?と眉を上げた奥野はニヤリと笑った。
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