大人の女に手を出さないで下さい
ついつい、ぼーっとしてたのが祟って仕事が押してしまい、4時前に燕尾服姿で現れた父に急かされ急いで仕事を終わらせ着替えをした。

敏明は着替えをした蒼士を見つめ「良く似合ってる」と感慨深げに呟いた。
父も年の割にはスタイルがいいから燕尾服姿は良く似合ってる。「ああ、親父もな」と、柄にもない事を言って照れてしまった。
用意していた車に乗り込み、いったい誰の結婚式なんだ?と聞いても、行けばわかると言って意地悪そうに笑って敏明は教えてくれなかった。

30分ほど走った車窓から見慣れた景色が見えて蒼士はどこに向かってるのか気が付いた。
ここは観光地にもなってる湖の近くで友人の知宏が経営してるオーベルジュがある。
そこで梨香子にプロポーズしたんだなと幸せな思い出を思い出した。
少し行った先の丘に煉瓦造りの古い教会があり、今日はそこで結婚式が行われるのだろうと推測した。
しかし、あんな辺鄙なところで結婚式とはいったいどういう経緯でそこにしたのだろう?と、失礼な思考が頭を掠め、増々誰が結婚するのか気になった。

予想通り、古びた教会の前で車は停まり降りると、教会の入り口で待ってる女性が目についた。

「え?英梨紗ちゃん?」

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