大人の女に手を出さないで下さい
どういうことかと蒼士は隣を見遣ると、目尻の下がったデレデレ顔の父に驚き固まる。

「おっと、にやけてる場合じゃなかったな」

我に返った敏明は蒼士を見据えた。
中では讃美歌なのか、音楽が流れてきた。

「蒼士、幸せになれよ」

「親父…」

まさか、自分の知らない間に何かが進んでいたのかと、蒼士も漸く気が付いた。
この扉が開いた先に何が待ってるのか。
想像すると胸が高まりゆっくりと開いていく扉を見つめた。

中はろうそくの灯が燈り綺麗な花々で飾られ知ってる顔がこちらを振り向いているのにまず驚いた。
トミちゃんやツクヨミさん、ハルちゃんがいる。
友人の知宏夫妻、医師の鍋島郁斗や友人たち。ツアーで出会った深田夫妻や奥野までいる。
英梨紗の横には琢磨もいて兄の淳史までいた。梨香子の両親や友人もいて親類や知らない顔もちらほらいたが拍手で出迎えてくれた。
その中央奥では真っ白なウェディングドレス姿の梨香子が佇んでいた。
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