大人の女に手を出さないで下さい
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「こんにちは、国永さん」

「あ、いらっしゃい、元倉さん」

月一ラウンドに来るようになったスパイスライフの元倉は、たれ目を細め爽やかな笑顔で梨香子に歩み寄る。
何かと良い情報と掘り出し物のアンティーク雑貨を持ってきてくれるので梨香子は彼が来るのをいつも楽しみにしていた。

「今日は新商品の紹介とまたいいものが入ったのでぜひエリッサに置いて欲しいと思いまして」

そう言って元倉はカタログとアンティークのお皿、銀の燭台、レースのハンカチ等を出していく。
わあ素敵!と梨香子は目をキラキラさせテンション高く元倉の説明を聞く。

「このブルーの絵柄のお皿はGIEN(ジアン)のポーセリングディナープレートです。淵の曲線と絵柄が見事でしょう?」

「ええ、草木に小鳥の絵柄も可愛いですね」

「1900年代のもので約120年経ってるのにヒビや欠けも無く綺麗に残っているのは珍しいんですよ」

少しくすみを帯びたお皿は味があり120年も前の物が今もこうして形を残し今手元にある事に感動する。
他の商品も博識な元倉の説明を受け感心しながらじっくりと見た。
全てが名のある名品ではないけれど昔の職人が手塩にかけて作り長い年月を経て、どんな人が使いどうやってここまでたどり着いたのかと考えるだけでロマンを感じる。

「この燭台も素敵。アクセサリーホルダーにしてもいいわね。レースのハンカチも花瓶の下に敷いて飾るのもいい」

アンティークはその物本来の用途以外の使い方をするのも醍醐味の一つだ。マニアもいてアンティークを取り扱うようになって店の評判も上々。売り上げにも繋がっている。
ホクホク顔で梨香子は全ていただくわ。と、太っ腹なことを言った。
いいお値段の物ばかりだけど店の売り上げにつながると思えば思い切ったこともできる。
自分個人でこんな買い方は絶対しないけど大人買いした気分だ。
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