大人の女に手を出さないで下さい
「いつも帰りが遅かったのはそういうことだったんだね…」

「違う!ほんとに梨香子が思ってるような事じゃない!」

ぽつりと力なく呟いた梨香子の言葉を英隆は全力で否定した。
しかし梨香子には理解出来ない。
明らかに英隆は他の女性と会いキスをしたのだ。その事実はただでさえ孤独を感じ弱っている梨香子を更に追い詰めていく。

「これが浮気じゃないって言うなら何なのよ…」

ぼろぼろと涙が零れ嗚咽は大きくなっていく。
嫌がる梨香子を無理やり抱きしめた英隆はごめんと何度も謝った。

「ごめん、ごめん梨香子、俺が愛してるのは梨香子だけだ」

そう言って抱えるように顔を抑えた英隆は泣きじゃくる梨香子にキスをしようとした。

「いやっ!」

「ま~ま~?」

反射的に英隆を振り払った時ドアが開き英梨紗が寝ぼけ顔で入ってきた。
子どもに泣き顔は見せられないと咄嗟に顔を背けるけども涙は止まらない。
英隆が英梨紗を部屋へと寝かせに行く。
一人になった梨香子はこれでもかというくらい泣いた。
何とかいい妻、いい母になろうと頑張ってきたのにこんな裏切りあんまりだ。
何が悪かったの?みんな私が悪いの…?
妻としても女としてもお前はダメだと言われているようで梨香子の心はボロボロだった。

< 85 / 278 >

この作品をシェア

pagetop