賽の河原で鬼さんこちら
皆が恐れる大鬼の顔を見て、少女はただ笑う。

傷だらけの小さな手で、そっと大鬼の手を取りながら。

小さな小さな少女の手は、大鬼の指を掴むので精一杯だった。


「帰ろ」


少女が大鬼を見上げる。


「また積み上げるからさ」


にへらと笑い。


「また崩そう」


そう言った。


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