人生の続きを聖女として始めます
「も、申し訳ございません!!先程北館にお食事をお持ちした際、侍女のノーラから聞きまして……てっきり陛下も御存知のことと……」

「…………………懐妊と??」

「は、はい……あの……」

「それを、誰かに喋ったか?」

懐妊などあり得るか!
そんなバカなことを信じる奴はそうはいない。
近衛や親衛隊は状況をわかっているし、神殿部だって信じはしない。
そう、せせら笑いながら尋ねた。

「……あ、あの……はい。厨房の人とか……近衛の何人か……親衛隊の皆様に……あと……先程……聖女様に……」

「は?」

お前、最後になんていった?

「聖女!?ジュリにそれを言ったのか!?」

「は、あ、えっと、も、申し訳ございませんっ!!」

どうして怒っているのかわからない……女はそんな表情でしゃがみこみ、額を床に擦り付けた。
おい、なんでよりによってジュリに言うんだ?なんの嫌がらせなんだ!?
と、浮気がバレた男のように、オレは狼狽えた。
いや、そもそもどうしてビクトリアは懐妊だのとありもしない嘘をついているのか?
ジュリ以外、誰が聞いても信じはしない……。
それか。
……………とりあえずもう一度執務室に戻るとするか……勢い良く飛び出した手前体裁は悪いが、仕方ない。
かがんだ女の名前を聞いて、オレは足早に執務室に急いだ。
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