私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)


初めての空の旅



こんな高い所をほうきで飛ぶなんて
絶対に怖いと思っていた



でも、エイトに抱き着いていて安心するからか
私は全く怖さを感じなかった



むしろ
ずっとエイトの体温を感じながら
ほうきに乗っていたいくらい




「ほら、見えてきた」



「すごーい!!きれい!!!」



空から見下ろすと
50個くらいの同じ高さの山が並んでいて

その山ごとに赤、黄、ピンクに水色など
違う色の花が咲き誇っていた



その山の向こうには
エメラルドグリーンに光り輝く海が
広がっている



「ちょっと降りてみるか」



エイトの背中から離れ
山ごとに違う花を眺めていると
あることに気が付いた



高さ2メートルくらいの山の側面に
木でできたドアがついている



「エイト、このドアって?」



「まあ、今にわかるから」



エイトが
太鼓のようなものをドンドン叩くと

50個ほどある山のそれぞれのドアが開き
中から人が出てきた



「起きたか?
 昼寝は終わりの時間だぞ」



「エイト様だ!」
 
「お会いしたかったですぞ」

「キャー!エイト様が来てくれた!
 家に戻って着替えなおしてくる」



それぞれの山から出てきた人たちが
エイトの所に集まってきた



「舞、ここは山花族|(やまはなぞく)
 暮らしているんだ

 山に穴を掘って、家族で暮らしている

 まあ、暮らしているって言っても
 穴の中は真っ暗で
 寝るときしか使わないんだけどな」



「じゃあ、ご飯やお風呂はどうしてるの?」



「あそこに、大きな山があるだろ

 あの山のてっぺんで
 寝るとき以外は
 そこでみんなで暮らしているんだ

 こいつら曰く
 山花族はみんなが家族なんだって」



「エイト様、お願いがあるんじゃが」



長老と言ってもおかしくない
腰が曲がったおじいちゃんが
エイトに話しかけた



「この子の、名付け親になってくれんかの?」



「かわいい赤ちゃんじゃん
 いつ産まれたんだ?」



「昨日の夜じゃよ な、スモモ」



「はい 満月の夜に産まれたんです」



赤ちゃんを抱いているお母さんは、
私と同じくらいの年齢に見える



この年でもうお母さんなんて
しっかりしているんだな



「エイト……
 私ね素敵な名前を思いついちゃった」



「何?」



「マトイってどう?」



「なんでその名前?」



「山花族は、みんなが家族みたいなんでしょ

 きっとこの子も
 たくさんの愛情に包まれて育つと思うの

 愛を纏う| なんか素敵だなって思って」



「良い名前じゃん」



「それにね……」



私は
恥ずかしくてエイトの耳元で囁いた



「『まい』とエイトの『イとト』で
 マトイだし……」



エイトは目を見開いて固まった



そして急に
首を横に振り出した



「やっぱ、マトイはダメダメ!

 舞、名づけのセンスないんじゃね」



「え?
 さっきは良い名前って言ったじゃん」



「俺がもっと良い名前を付けるから
 ちょっと考えさせろ!」



エイトはそういうと
赤ちゃんを抱き
優しい目で赤ちゃんを見つめ微笑んだ


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