私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

「マジか……
 もうすぐ12時じゃん 
 俺、帰んなきゃ」



エイトはそう言うと
クスノキの前まで、私を送ってくれた



「エイト……これ良かったら食べて」



「何?これ?」



「一緒に食べようと思って
 お弁当作ってきたんだ

 でも時間がなくなっちゃったから
 帰ったら食べて」



朝5時に起きて
人間界の味付けと、魔法界の味付けの
2つのお弁当を用意した



すごくドキドキしながら作った



エイトがおいしく食べるてくれるか
不安だったから



一緒に食べたかったんだけどね
でもしょうがない

もう、サヨナラの時間だしね



「舞ごめん。これは受け取れない」



「え?」



予想外のエイトの言葉に
私は固まってしまった



「俺、専属のシェフが作ったものしか
 口にできない決まりなんだ」



「……そう……なんだね



 でもそれって
 守らなきゃいけない決まりなの?」



「は?」



「エイトに喜んでほしくて
 朝5時に起きて作ったんだよ

 魔法界と人間界の味の2種類作ったんだから

 私がどんな思いで作ったか
 わかろうともしないなら
 魔法界の国王なんて向いてないかもね」



「なんだよそれ!

 俺だって
 好きで魔法界の王子になったわけじゃねえし

 俺のことも知らないくせに」



「王子の気持ちなんか
 人間界育ちの私にわからないもん

 エイトだってお弁当を作った
 私の気持ちなんてわからないでしょ

 もう帰るから」



そう言って
私はエイトを見ないまま
人間界に帰った


< 22 / 57 >

この作品をシェア

pagetop