私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)
 
「さすがに今日は
 エイトは来てくれないよね」



次の日
私はいつものように魔法界のクスノキの前で
エイトを待っている



「昨日は
 エイトにひどいことを言っちゃったな……」



私が作ったお弁当を食べれないと言われて
つい
エイトが傷つくようなことを言ってしまった



エイトが魔法界の掟に
従わなきゃいけないことくらい
わかっていたことなのに……



「もう私のことなんて
 嫌いになっちゃったかな……」



クスノキの前でしゃがんでいると
目がクリクリした女の子が
私に話しかけてきた



パステルカラーのシフォンワンピが似合っていて
子リスのような
可愛らしさをもった女の子だった



「舞さんですよね?」



「え?」



「私、カノンって言います

 聞いてないですか?

 私、エイトの許嫁です」



いいなずけ?



それって
エイトの将来のお嫁さんってこと?



「本当にありがとうございます

 舞さんがエイトの彼女役をしてくれてるお陰で
 私が女子たちから嫉妬されることが
 なくなって助かってます」



私の……おかげ?



「エイトってば、すっごく心配性で

 私たちが付き合っているってばれた時に
 私がイジメられたことがあったんです

 それで、私を守るために
 彼女役を作るって言って
 舞さんにお願いしたみたいなんです

 舞さんは
 女の子たちからひどいことされたりとか
 ないですか?」



「とくには……」



「良かった~
 舞さんに何かあったら
 どうしようって思ってたんです

 カノン、安心しました

 3月には私たち婚約をするので、
 その時はお披露目パーティーに来てくださいね」



そう言ってその子は
私にブンブン大きく手を振り去って行った



エイトの許嫁……



エイトが私に彼女役をお願いしたのは
かわいいカノンさんのためだったんだ……



付き合っていて……


しかも3月には婚約するって……



想像もしていなかったことに
私は胸が苦しくてたまらなくなった



お願いエイト
今すぐ会いに来て!


カノンさんとはなんでもないって言って!



30分待っても1時間待っても
エイトは現れなかった




彼女役を頼まれた時の条件


『俺のことは好きになるな』


それって
カノンさんっていう大事な彼女がいるから
俺のことを好きになるなってことだったんだね



それなら
抱きしめたり……しないでよ……



キスしたり……しないでよ



私はクスノキの前にうずくまり
腕で顔を隠して泣いた


< 23 / 57 >

この作品をシェア

pagetop