私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

本当は彼女役なんてしてほしくない



俺の物に
俺だけのものになって欲しい



舞のことが
大好きで大好きでしかたがないから



でも
俺はあと8か月後には
子供のころから決められていた許嫁と
婚約をしなければいけない



舞を一生守ってやることは
俺にはできない



俺の願いは

今だけは彼女役でもいいから
おれの傍にいてほしい



1日でも長く……




「エイト、ありがとう
 もう元気になったよ!

 さすがにこんな暗くなったら
 お母さん達心配してるかな

 クスノキまで、送ってくれる?」



「ああ」



さっきまでの
すぐに壊れてしまいそうな表情から一変



舞は俺に笑顔を見せた



なんだこの胸騒ぎは


舞のこの笑顔が見たかったはずなのに
何かが違う



俺は心のモヤモヤを抱えたまま
瞬間移動で舞をクスノキまで送った




「本当に怖い思いをさせて悪かった

 これから舞が帰るときには
 人間界行きのこのドアを閉めるまで
 見送るからな」



「ありがとう!エイト!
 でも、もうそんなことしなくて大丈夫だよ!」



「は?なんで?」



「もう……
 魔法界には……来ないから」



…………



は?


もう魔法界に来ないって?



「カノンさんって許嫁がいたんだね

 その子を取り巻き女子から守るために
 私を彼女役にしたんでしょ
  
 そんなに大事な子がいるなら
 私にキスとかしないでよ

 魔法界では誰にでもするのかもしれないけど
 私にとっては初めてだったんだから……」



「カノンは別に……」



「それに

 もうエイトとの約束を守れなくなっちゃった」



「約束って?」



「エイトが言ったじゃん

 『俺のこと、絶対に好きになるな』って

 その約束、もう守れそうもないから

 エイト……
 カノンさんを幸せにしてあげてね
 バイバイ」



舞は今にも涙が溢れそうな瞳で
俺を見つめると
タタタと駆けて人間界に帰ってしまった




俺のことを好きになるなっていう約束を
守れなくなった?



それって……



俺のことを
好きっていうことなのか?



舞が俺を好きでいてくれたなんて
全く想像していなくて
俺は頭の中がゴチャゴチャになってしまった



明日も明後日も
夕方になれば
舞の笑顔が見られると思った



明日は舞をどこに連れて行こうか
何を話そうか考えるだけで
心に花が咲いたように
ふわっとした気持ちになれた



「やべ
 俺、舞がいないと
 ダメかもしれない」

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