私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

次に日からクララは高校には行かず
我が家の寮で住み込みで働くことになった



お昼休み
学校の中庭のベンチに座っていると
クララの彼の歩君が話しかけてきた


「高梨、ちょっといいか?」



「あ、うん
 クララが戻ってきてくれて良かったね」



「ああ
 高梨も毎日魔法界に行ってたって
 エイトに聞いた

 ありがとな」



「エイト?

 歩君、エイトと会ったの?」



「クララが戻ってきたときに
 言霊神社にあいつもいたからな

 クララを戻してほしいって、国王を説得してた

 それにクララが戻るように協力して欲しいって
 魔法界中を回って、国民に頭下げたんだって

 エイトって、口が悪いけど良い奴だな」



「そうだね」



初めてエイトに会った日
エイトは約束してくれた

彼女役をやったら
クララが帰ってくるように協力するって



クララが戻ってくるように
見えないところで
必死に動いていてくれたんだね


エイトは
私との約束を守ってくれたんだね



私もきちんとサヨナラしなきゃ


エイトがカノンさんと幸せになるように
心から願わなきゃ



「高梨、これ」



「え?」



歩君から手渡されたのは
エイトの髪と同じ色をした
紫の封筒だった



「エイトから?」



「ああ。高梨に渡したからな」



そう言い残して
歩君は教室へと戻っていった



エイトからの手紙
何が書いてあるんだろう



今すぐ開けて確認したいのに
これを読んだら
もう一生会えないんじゃないかと思えて
怖くて開けられない



さっき、エイトとカノンさんの幸せを
願おうって決めたばかりなのに

エイトを思うだけで
こんなに会いたくてたまらなくなってしまう



私はどうしたらいいんだろう……


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