私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

☆エイトside☆


あれから舞は
元気にしているんだろうか



七夕の日に
歩に託したラブレター



あんなの
ラブレターでもなんでもないか



どうせ舞と結ばれないなら
せめて俺のことを嫌いにさせようと
書いてはみたが

あの手紙で
舞を傷つけてしまったんだろうなと思うと
心が締めつけられる



魔法学校の教室で外を眺めながら
俺は舞のことばかり考える毎日



カノンとの婚約まであと4か月なのに
俺はこのままでいいのだろうか



親父には
物事を選ぶときには
魔法界のためになる方を選べと
言われ続けてきた



魔法界の王子の結婚相手は
代々親が決めることにもなっている



俺が縛られている魔法界の決まり事を
破ってしまいたい



舞の作ってくれたお弁当を食べた時の
俺のように



でも
そんな勇気は俺にはない……



こんなヘタレな王子で
魔法界は大丈夫なんだろうか……




俺は学校から帰ると
親父の部屋に向かった



「親父、入っていいか?」



「ああ」



「ちょっとさ、親父に聞きたいことがあって」



「なんだ?」



「お母さんと結婚して、良かった?」



親父は俺がそんなことを聞いてくるとは
1ミリも想像してなかったんだろう


目を見開いて俺を見つめると
ゆっくり目を閉じ、柔らかい声を発した



「良かったと思ってるよ。
 あいつは、芯のしっかりした女性だからな」



「そっか
 親父はすげーな」



「何がすごいのだ?」



「親父だって
 親に決められた相手と結婚したわけじゃん

 それなのに母さんを幸せにできるんだもんな

 母さんも、親父と一緒になれて
 良かったって言ってたし」



「エイト
 まだ、舞という子のことが
 忘れられないのか?」



「ああ
 どうしたら、舞を忘れられるのかわからない

 こんなこと
 親父に言っちゃダメだったよな

 クララをこの世にもどす条件が
 舞を忘れることだったんだから

 親父、今の聞かなかったことにして

 俺も俺で
 魔法界のこと真剣に考えてるから

 カノンとの結婚をダメにするようなことは
 しないから、安心して」


 
俺が部屋を出ようと
親父に背を向けて歩き出し時


「エイト

 俺は父親として
 お前には幸せになってもらいたいと思っている

 だが国王として
 エイトの妻――魔法界の女王になる人を
 選ぶ責任もある」



「わかっているよ

 親父は魔法界にとって一番いい道を
 選ばなきゃいけないもんな」



親父は窓際に座り
外をまっすぐ見つめながら
父親の目をして俺に言った



「3日間だけ

 エイトが人間界に行くことを許可しよう」



「え?」



「会いたいんだろ。舞って子に」



「でも……」



「その代わり
 お前は見た目も声も変えること

 舞にも自分がエイトだと
 気づかれてはいけない

 それでも舞を惚れさせることができたら
 舞と付き合うことを考えてもよかろう」



「親父、どうして?」



「俺は魔法界の国王である前に
 お前の父親だからな」



「やっぱり親父は、すげーな」



俺は3日間だけ
舞と同じ高校に通えることになった




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