私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)
次の日
俺は張り切って一番に教室に入った
今日こそは
舞に話しかけて俺に惚れさせる!
そう意気込んだのもつかの間
「マトイ君、早いね」
「本当だ
私たちも早めに来てラッキーだったね」
また女子たちに囲まれてしまった
あ、舞が教室に入ってきたのに……
俺はまた、話しかけれないじゃん……
「高梨さん」
休み時間に
ぶ厚い本を読んでいた舞に
誰かが話しかけている
目がクリッとしていて
男らしさが全くないとゆうか
ほわわんとした柔らかい雰囲気の男の子だ
取り巻き女子の質問に
無難に答えながら
俺は舞とその男子との会話に耳を傾けていた
「高梨さんって
今日の放課後って家にいる?」
「うん。いるよ」
「じゃあ、放課後に行ってもいい?」
「また来てくれるの?ありがとう
お母さんにも柚葉くんが来るって
伝えておくね」
は?
舞の家に
なんで柚葉って奴が行くんだよ!
ま、まさか……
あいつら付き合ってるとか!!!
親も公認??
俺には未だに笑顔を向けない舞が
柚葉って奴と仲良さそうに話していて
舞の笑い声が俺の耳に届くたびに
俺の心のイライラがどんどん増していく
ガシャガシャン
舞への怒りが抑えきれなくて
俺は自分の机を蹴り飛ばした
取り巻きの女子たちも
俺が急に目をつり上げて机を倒したことに
アタフタしている
やべ!
さすがに人間界で問題を起こしたら
魔法界に即強制送還させられる
「ごめんごめん
長い脚が机に当たっちゃって」
とっさの作り笑いで机を起こそうとした時
舞がビックリした顔で俺を見ていた
俺は柚葉と仲良く話していた舞の笑顔が
まだ頭から離れなくて
プイっと舞から視線をはずした
昼休み
俺につきまとう女子たちから逃げようと
校舎の裏に行くと
そこには柚葉がいた
「あ、マトイ君」
なんだこいつ
まだ話したことない俺にも
陽だまりみたいな柔らかい笑顔を向けて
「お前、柚葉って言ったよな
こんなところで何してんだ?」
「俺さ、園芸部なんだ
今日の昼休みは
この花壇の手入れをしようと思って
あ、園芸部って言っても
部員は俺だけなんだけどね」
「柚葉さ、高梨舞のこと好きだろ?」
俺の言葉に
柚葉の顔がだんだん赤くなってきた
「な……なんで?
そんなことは……」
「お前わかりやすいんだよ
舞に話しかけているときのお前の
ドキドキ顔見たら、一発でわかったし」
「俺ってそんなにわかりやすい?
高梨さんにもバレてるのかな?」
「そこまでは知らん
って、お前たち付き合ってないのか?」
「付き合ってなんかないよ
俺なんかを高梨さんが
選んでくれるとは思ってないし」
とりあえず
柚葉と舞が付き合ってないみたいで
ホッとした
「マトイ君も、高梨さんが好きとか?」
「ああ。まあな」
「たぶん、マトイ君も無理だよ」
「は?」
「あ、マトイ君は俺と違って
すごくカッコいいと思う
でも高梨さんには
大好きでしかたがない人がいるんだって
高梨さんって学校の休み時間は
分厚くて難しそうな本を読んでるんだけど
その好きな人と一緒にいれるように
毎日努力してるみたい
俺、告白しようと思ったけど
高梨さんからその話を聞いたら
言えなくなっちゃった」
「柚葉って、案外良い奴だな」
「そんなことないよ
自分に自信がなくて
傷つくのが怖いだけだよ。俺は」
あ、今日の放課後に
高梨さんの家の庭の手入れに行くんだけど
良かったらマトイ君も一緒に行く?」
学校では女子に囲まれていて舞と話せないから
絶好のチャンスじゃん
「俺も、行きたい!」
「その代わり、庭の手入れを手伝ってよ
それと高梨さんに好きな人がいることは
知らないふりをしてよ」
学校が終わると
一緒に柚葉の家まで行って
リヤカーと言うものに荷物をつんで
二人で舞の家に向かった
なんで俺が
こんな重いものを引いて歩かなきゃいけないんだよ
魔法が使えたら
瞬間移動で運べるのに
つくづく
人間界は不便なとこだなって思う
ピンポーン
柚葉が舞の家のインターホンを押した
ヤバい
ドキドキしてきた
明らかにおかしいじゃん
柚葉と一緒に俺がここにいるなんて
「柚葉くん
……え?」
「マトイ君も
俺の手伝いをしてくれるって言うから
連れてきちゃった」
「そうなんだね
マトイ君もありがとう」
笑みのない控えめなありがとうに
舞が俺に壁を作っている感じがして
俺はイラッとなった
「柚葉くん、いつもありがとう
あらまあ
今日はお友達も連れてきてくれたの?」
玄関の奥から歩いてきたのは
舞のお母さんのようだ
舞のお母さんには
俺に良い印象を持ってもらいたい
「初めまして 黒岩マトイです」
俺は丁寧に頭を下げた
「こんなイケメン君二人が
来てくれるなんて嬉しいわ
あ、舞
二人にも夕飯を食べていってもらったら」
「え?だって……」
「最近ね、舞が夕飯を作ってるの
でも、私の故郷の味付けだから
二人の口に合うかどうか……
今日は、普通の味付けになさい。ね、舞」
故郷の味ってことは
魔法界の料理ってことだよな
すげー食べたい!
本当は、人間界にいる3日間も
シェフの作った弁当以外食べるのは
禁止されている
でも、もうそんなことはどうだっていい
俺は舞の料理が
どうしても食べたいんだから
「俺、故郷の料理も食べてみたいです」
「マトイ君の口に合わないかもしれないよ
それでも良ければ……
食べていってくれてもいいけど……
何か食べたいものってある?」
「卵焼き」
俺はとっさに言ってしまった
舞とソフィアナ海で泳いだ日
舞が作ってくれた卵焼きの味が忘れられなくて
もう一度食べたかったから
「良かった
もっと難しい料理をリクエストされたら
どうしようかと思っちゃった」
舞が、俺の顔をみて笑ってくれた
ずっと見たかった舞の笑顔
ヤバい!舞が可愛すぎる!
俺は自分の顔の温度が
どんどん上がっていくのに気が付いて
恥ずかしくて手で顔を隠した