私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

☆舞side☆


なぜか今、私の隣には
モデル?ってみんなが振り返るイケメン君が
私に微笑みかけている



昨日初めて、マトイ君と話した



それなのに告白された



「俺と付き合ってくれる?」って


いまだに信じられなくて
冗談でしょと思ってはいるものの
私に向ける笑顔が
なぜか懐かしく感じてしまう



まっすぐ見つめられると
なぜか目をそらせられなくなってしまう



なぜだろう
私はエイトが大好きで
エイト以外全く興味がないはずなのに




「ここって、映画館?」



「そう
 舞と一緒に見たい映画があってさ

 チケット買ってくるからここで待ってて」



マトイ君を目で追うと
さっそく女子たちに囲まれていた



なんか私
すごい人と映画に来てる気が……



「君、一人?」



「え?」



「君かわいいじゃん、俺車で来てるからさ
 一緒にドライブに行かない?」



「男友達と一緒なので」



「ただの友達なんでしょ
 そんな奴ほっといて、俺と遊びに行こうよ」



私がいくら断っても
しつこく誘ってくる男



「ね、お昼おごってあげるから」



そういって私の肩に手を回してきたとき



「俺の女なんだけど」



マトイくんが
その男をにらみつけながら言った



「チッ
 こんなブサイクな女、特に興味ねえし」



そう暴言を吐き
男は去って行った



「舞ごめん、大丈夫だった?」



「うん」



男のことよりも
マトイ君の言葉にドキドキして
心臓が猛スピードで動いている



『俺の女なんだけど』



マトイ君にドキドキしちゃダメでしょ

私はエイト一筋って決めてるんだから



私を心配そうに見つめるマトイ君が
私の耳元で囁くように言った



「あの男の言うことは気にするなよ
 舞は、すっげーかわいいんだから」



ドクンドクン



なんなの私の心臓


マトイ君の言葉に
いちいち反応しちゃってるし



私の顔がだんだん赤みを帯びてきたころ
マトイ君の頬もタコさんみたいになっていた




「俺さ、この映画すっげー見たくて」



マトイくんが選んだ映画は
しゃべるウサギが大冒険をするお話だった



しかも館内は
私たち以外親子連れ



笑いあり涙ありの映画だったんだけど
マトイ君は、子供たちと一緒に大笑いをして

ラストに主人公のウサギが
生き別れたお母さんに会えたところでは
グスグス泣いていた



マトイくんって
ちょっと俺様系なところがあったりするのに
純粋な心も持ってるんだな



そう思うと
クスクス笑えてきた



「舞さ、あの感動的なシーンで笑ってただろ?」



「だって、隣で泣いてる人がいたんだもん」



「は?俺は泣いてなんかないからな」



「フフフ
 そうだね。マトイ君ではなかったね。多分」



「多分ってなんだよ」



お互い目が合って一緒に笑いあった




ずっとエイトのことで辛い思いをしていた


でもマトイ君といると
その辛さを和らげてもらえるから不思議



そのあと
カフェに入り
私が大好きなタコライスを食べた



「どう?ここのタコライス絶品でしょ?」



「まあな。結構うまい

 でも俺は
 舞が作った卵焼きが一番好きだな」



またまた私の胸が
キュンと飛び跳ねた



なんでマトイ君は
急にサラッと私が嬉しくなることを
言ってくれるの?



「そうそう、行きたいお店があるんだ
 食べ終わったら行こうぜ」



「うん」



私はなぜか
強引なマトイ君に従ってしまう



「ここのお店?」



「そう。時計の店」



「マトイ君、時計が欲しかったの?」



「俺さ、カチカチ針が動く時計って
 持ってないんだよね

 舞だったらさ、この中でどの時計がいい?」



「う~ん、マトイ君には……
 これが良いんじゃない?」



「は?」



私が指さしたのは
目がウルウルのかわいいウサギの置時計



「だって、さっき見た映画のウサギさんに
 ちょっと似てるじゃん

 泣いちゃうほど気に入ったでしょ。あの映画」



「だから、俺は泣いてないからな」



「ハイハイ」



このマトイ君とのやりとりが、結構楽しい

私は自然と、笑ってしまう



「舞は、この時計かわいいと思うか?」



「うん。
 私結構、ウサギが好きだから」



「舞が言うと
 だんだんこのウサギ時計が可愛く見えてきた

 これにしようっと」



「え??
 本当にこれでいいの?」



「ああ。これが良い」



マトイ君は優しく微笑むと
店の奥のレジに行ってしまった



マトイ君は本当に不思議な人だなって思う



エイトのことで氷のように冷たくなった私の心を
溶かしてくれるんだから



だんだん空が赤くなってきたころ
私たちは言霊神社に来た


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