私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

☆舞side☆


次の月曜日
マトイ君は学校に来なかった



女子たちの悲鳴がこだまする教室で
柚葉くんが私に言った



「マトイ君、転校しちゃったんだね」



「え?」



私はなぜか
心をギューっとわしづかみにされたように
息をするのが苦しくなった



なんでこんなに
心が苦しいんだろう……



☆☆☆


街中が幸せモードのクリスマスが過ぎ
女子たちがソワソワドキドキのバレンタインが過ぎ
あっという間に私たち3年生は、高校を卒業した



「3月になっちゃった
 エイトも魔法学校、卒業したのかな……」



私のつぶやきに
クララが反応した



「魔法界の卒業式は、3月15日だよ」



「そうなると、エイトとカノンさんは
 3月16日に婚約のお披露目ってこと?」



「きっとそうなると思う」



「私、もう一度、魔法界に行きたい! 

 これが最後のチャンスだもん
 もう一度エイトに、自分の気持ちを伝えたい」



「あとは、エイト様に会う方法だよね

 舞ちゃんも私も
 魔法界に行く通行許可書を持ってないし」



二人で朝食を作りながら話していると
寮に住むナズナさんが
バタバタと階段を降りてきた



「舞ちゃん、クララちゃん、
 せっかく朝ご飯を用意してくれたのに
 食べれなくなっちゃった」



「ナズナさん、急いでどうしたんですか?」



「魔法界から呼びだされちゃったの

 今すぐ
 カノンさんのドレスを持って来てって

 今日のお昼にね
 エイト様とカノンさんの
 婚約の儀を執り行うんだって」



え?



まだ3月2日だよ……

婚約まで、まだ2週間あったはずなのに……



ナズナさんが家を出ると
私はクララの胸に飛び込んだ



「クララ……どうしよう……

 私まだ……エイトに
 自分気持ちを伝えてないのに……」



「舞ちゃん、言霊神社に行こう!今すぐに! 

 奇跡を起こせる場所は
 あそこしかないから!」



私たちは寮の朝ご飯をほっぽり出して
全速力で言霊神社に向かった



「クララどうしよう……

 私はもう
 この滑り台で魔法界に行くことはできないし」



「せめて、瞬間移動の魔法が使えたら

 人間界では魔法は使えないけど
 もうこの魔法にかけるしかないから

 舞ちゃん、今日まで練習してきたよね

 エイト様のことを強く思って、呪文を唱えて」



瞬間移動は
魔法界の城の者しか使うことが許可されていない
究極魔法



魔法の一つも使ったことがない私が
使えるはずがない



でも
私はどうしてもエイトに会いたい



お願い言霊神社の神様



私の真剣な願い
どうか叶えてください



何度も何度もエイトを思い
心の中で必死に呪文を繰り返す



クララは私の隣で
言霊神社に手を合わせて願ってくれている



でも
1時間たっても
2時間たっても
私の体は言霊神社にとどまったままだった



「クララ……もういいよ……

 瞬間移動が……
 私に使えるはずないから……」



「舞ちゃんごめん
 私は諦めきれないの

 舞ちゃんがエイト様に振り向いてもらおうと
 頑張っている姿を隣で見てきたから

 舞ちゃん、まだ時間はあるから
 諦めないで頑張ろう」



「クララ……」




私はまた
言霊神社の拝殿の前で
呪文を唱え続けた




お願いです

どうかどうか
私をエイトの所まで連れていってください

どうか……

どうか……




その時
胸元のペンダントが
紫に光輝いたと思ったら

私の体は
どこかに連れ去られた

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