私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)
「舞、忘れ物ない?」
「大丈夫、昨日ちゃんと確認したから」
「魔法界への通行許可書は持ったの?」
「ポケットに入れたから大丈夫!」
4月1日
私は今日から、魔法界の学校に行く
人間界で魔法界の人が住む寮の
スタッフを育成する専門学校に
と言っても
人間界のこの実家から
毎日魔法界に通うんだけどね
「舞ちゃん、その制服似合ってる」
クララがニコニコしながら言った
「そうかなあ……
このゆるフワの髪も、なんかまだ慣れなくて」
「舞、学校へは寮の勉強を
しに行くだけじゃないのよ
この寮を継いでくれる相手を
見つけに行く場所でもあるのよ
忘れていたわ
この香水を1滴だけ、首の後ろにつけなさい」
「お母さん、私、香水なんてつけなくていいよ」
「もう、言う通りにしなさい
この香水は、魔法界で人気の
恋に効く香りなんですって
舞が素敵な人と出会えるように
調合してお祈りまでしてもらったんだから
高かったのよ
ありがたくつけていきなさい」
「もう、わかったよ」
「舞ちゃん、行ってらっしゃい」
「じゃ、お母さん、クララ、行ってきます」
私は言霊神社から
にグルリングルグル滑り台を久々に滑って
魔法界にやってきた
クスノキから学校に歩いて向かう
「みんな、ほうきに乗れて良いな
私も早く、乗れるようにならなきゃな」
学校まで歩いていると
一人の男の子が、
ほうきに乗って空から私の前に降り立たった
「君も、寮の育成学校の新入生?」
「え?う……うん」
「じゃ、同級生じゃん
一緒に学校まで歩こっか」
「でも、ほうきで飛んで行った方が早いよ
私は歩きだし、先に行ったら?」
「じゃあ、俺のほうきの後ろに乗ってく?」
「……遠慮しときます」
「アハハ
俺はクウリ。よろしくな」
「私は高梨 舞……です」
「高梨なんて珍しい名前だな」
「両親は魔法界の人なんだけど
子供のころから人間界に住んでるの
だから私は、魔法が使えないんだ」
クウリ君は頭を
優しくポンポンした
え?
クウリ君は私を見つめると
太陽みたいな飛び切りな笑顔で言った
「えらいじゃん!」
何?何?
何ですか今の笑顔は?
ちょっとトキメイてしまった自分がいた
「俺も見習って、ほうきを使わず歩こうかな」
「クウリ~」
「なんで歩いてるんだよ」
空からまたまた
男の子たちが3人降り立った
「こいつら、俺の幼なじみ
で、こっちが舞
俺たちと同級生なんだって」
入学式当日
4人の男の子たちに囲まれて
私は学校まで歩いた
クウリ君同様、友達もイケメンぞろいだし
学校の女子たちに嫉妬されなきゃいいけど……
「広ーい!!」
入学式が始まるということで
講堂に集められた私たち新入生
私たちが椅子に座ると
ステージに先生たちが上がってきた
女子たちが急に
キャーキャー高い声を出し始めた
え?
な……なんで……
ここに……いるの……?
祭壇に
エイト王子が上がってきた
エイトとの距離は約10メートル
私はエイトから目が離せられない
先生が話す声も、全く耳に入らない
でもエイトは
全く私を見てはくれない
「では、エイト王子からお言葉をいただきます」
エイトは祭壇の中央まで歩く
私は一瞬でも見逃したくなくて
瞬きもしないように
ずっとエイトを目で追っていた
「新入生の皆さん
ご入学おめでとうございます
人間界にある、魔法界の人専用の寮は
魔法界と人間界を繋ぐ大切な場所だと
私は思います
魔法界の人が人間界にすむということは
努力と忍耐が必要になります
その辛さから
魔法界に帰ってしまう人も多くいます
皆さんは、そんな人間界で頑張る
魔法界の人を影ながらサポートし
安らぎを与えられる人になってください
期待しています」
エイト……
なんだ~
しっかり
魔法界の王子をしてるんだね
人前で堂々と話すエイト、初めて見たよ
これもきっと
カノンさんがいてくれるおかげなのかな
エイトは話し終えると
祭壇を降り、講堂を後にした
結局私のことは
一度も見てはくれなかった