私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

「舞ちゃん、早く魔法界に行かないと」



「クララ待って! 
 くしをバックに入れるのを忘れちゃったから」



「舞ちゃん、今日はくしがなくても大丈夫だよ」



「それでも必要なの

 爆発した髪のまま
 エイトに会いたくないから」



「フフフ
 舞ちゃんってかわいい!!」



「クララ笑ったな!

 魔法界に着いたら
 クララの髪をもっとグチャグチャに
 しちゃうからね」


私たちはいつものように
キャーキャー掛け合いをしながら

言霊神社からグルリングルグル滑り台を滑って
魔法界に行った



「私、魔法界に来たのは3年ぶりだ」



「クララは人間になったから
 魔法界に来られなくなっちゃったもんね」



「私、久々に家族に会いに行ってくる
 舞ちゃん、またあとでね」



「うん」



クララと別れ
私は急いで魔法界のお城に向かった



「舞ちゃん、やっと来た
 早く準備しないと間に合わないよ」



「ナズナさんごめん

 ドキドキしちゃって
 昨日なかなか眠れなくて……

 そしたら、朝、寝過ごしちゃった」



「そりゃ、緊張するよね

 早くこれに着替えて!」



今日、私が身に纏うのは
超人気ウエディングドレスデザイナーの
ナズナさんが仕立てた
世界でたった一着のドレス



だって今日は
エイトとの結婚お披露目パーティーだから



でもまだ
どんなドレスなのか私にはわからない



エイトが人間界に住むナズナさんの所に通って
私のドレスをデザインしてくれたの



カーテンで仕切られた空間でドレスに肌を通すと
ナズナさんが背中のファスナーを閉めてくれた



「私、マリアさんの所に行ってくるね」



ナズナさんが部屋を出て行ったので
カーテンを開けると



「え?」



そこには
婚礼衣装をまっとった
エイトが立っていた



「舞……

 ずっげー……綺麗じゃん……」



エイトに見つめられて
恥ずかしくて視線をそらしてしまう



「まだ……
 自分の姿を鏡で見てないからわからないよ」



「舞、こっちにおいで」



エイトに優しく手を引っ張られ
全身が映る鏡の前に来た



「このドレス……素敵……」



「当たり前だろ!

 お前が一番かわいく見えるように
 空いた時間はずっとドレスのこと
 考えてたんだからな」



体のラインがはっきりわかる
大人シックな
紫色のマーメイドラインのドレス



膝から下がふわりと広がったデザインで
背中に大輪の花が咲いている



「私じゃ……ないみたい……」



鏡を見ている私を背中から包み込むように
エイトが私を抱きしめた



エイトに後ろから抱きしめられている自分が
鏡に映っている



「結婚披露パーティーに行くの
 やめちゃおっか?」



「え?

 エイト…なんで?」



「……」



エイトは私をさらにきつく抱きしめた



「私との結婚……

 嫌になっちゃった?」



「かわいすぎて……

 今日の舞を……

 みんなに見せたくない……」



エ……エイト……



そんな恥ずかしいこと言わないでよ……



嬉しくて顔が真っ赤になってる自分が
鏡に映っちゃってるじゃん



鏡越しにエイトを見ると
エイトの頬もリンゴのように
真っ赤になっていた



「俺さ、
 舞と一緒になれるなんて思ってなかったんだ

 魔法界の王子として
 親の決めた相手と生きるしかないって
 諦めてたから

 舞、俺のこと好きになってくれてありがとな
 
 絶対に舞のこと、幸せにして見せるからな」



エイトの腕からするりと抜け出し
私はエイトの優しい瞳を見つめた



 「エイト
  大好きだよ」


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