篠田くんの取扱説明書
授業を受けたが、内容はまるで入ってこなかった。
寝不足もあって、頭が全然まわらない。
午前の授業が終わり、昼休みに入った途端賑やかになる教室。
俺はそんな教室の中は落ち着かなくて、
百華に言われた通り、視聴覚室に向かった。
視聴覚室の鍵は壊れていて、いつも開いている。
教室から離れてるのもあって誰も近寄らないから、1人になれる、一番落ち着く場所だ。
……普段はすぐに寝てしまうくらい、居心地がいいんだけど
……眠りたくない。
またあの夢を、見るかもしれない。
どうして何度もあの夢を見るんだろう。
言ってしまえば、ただの夢。現実とは違う。
でも、どうしても引っかかってしまう。
百華……本当は、俺といることが幸せではないんだろうか。
窓から入る風が、カーテンを揺らす。
気付けば俺は、瞼を閉じていた。