アナタと、キスと、銃声と。
幸せな夢を見ていたような気がする。
長い、長い夢。
翔平ちゃんがいて…幸せに暮らしてる夢。
もしかしたらこれが現実なのかもしれない。
じゃあさっきの美華さんの方が夢?
よかった…そう安堵したのも束の間、翔平ちゃんがお仕事に出かけて言った日の夜中。
うち中に響く電話の音。
「はい」
「白鷺さんのお宅ですか」
「そうですけど」
「警察のものです、先程ヤクザ同士の衝突がありまして、神崎翔平さんが…」
…はっとして、目が覚める。
翔平ちゃんの部屋に行かなきゃ。
そう思って体を起こす。
「…………いっ、た…」
頭に走るさ激しい痛み。
頭痛とは違う痛み。
……あ、今のは…夢…?
ゆっくり、ゆっくり、体を起こす。
金属バットで殴られたところに手を当てる。
冷たい床、何も無い倉庫のような場所。