アナタと、キスと、銃声と。
「あー!やっと起きた?寝すぎだよ梨瑚ちゃん」
倉庫の入口から聞こえる声に頭が痛む。
キーンと通る甲高い声。
わたしは現れた人を睨む。
でもそんなのどこ吹く風、痛くも痒くもないというように笑いながらわたしの方へ近寄る。
「そんな顔しないで、わたしは梨瑚ちゃんとお喋りがしたいだけなの」
「…こんなことしといて、何言ってんのよ」
「梨瑚ちゃんがわたしのお願い聞いてくれたら、すぐおうちに帰してあげるから」
「…お願い?」
「翔平を、わたしにちょうだい?」
翔平ちゃんをちょうだい?
それって。
…どういう。
「翔平をわたしにちょうだい」
「何それ」
「だって、梨瑚ちゃんが居るせいで翔平、わたしの所に来てくれないんだもん」
「わたしは、翔平ちゃんが好きだから。翔平ちゃんも」
「翔平もあなたの事が好きって?そんなの関係ない、わたしはあの人が欲しいの。ただそれだけ」