アナタと、キスと、銃声と。
言ってることがめちゃくちゃすぎる。
翔平ちゃんの気持ちはどうでもいいの?
頭おかしい…。
「ね?いいでしょ?だって梨瑚ちゃん、翔平の隣には不釣り合いでしょ?」
「そんなの…」
「翔平はわたしといたほうが幸せになれる」
幸せに…なれる。
わたしは、翔平ちゃんを幸せに出来るかな。
10歳も年が離れてる。
私はまだ子どもで、翔平ちゃんに何もしてあげられなくて。
…美華さんと一緒にいた方が、いいのかな。
『梨瑚』
翔平ちゃんがわたしの名前を呼ぶ声が、頭の中で聞こえた。
翔平ちゃん。
笑った顔も、意地悪く微笑む顔も、仕事に行く時の少し怖い顔も。
わたしはアナタの全部が好き。
優しく抱きしめてくれる腕も、怖い虎が書かれた背中も、ふわふわの黒い髪の毛も。
……全部が愛おしいの。