アナタと、キスと、銃声と。
「お願いだから…っ、どいてよ!」
「絶対どかない!」
「死んじゃうから…っ、お願い…!」
わたしは美華さんのを見る。
言葉にならない何かを叫び我を忘れて、刺しては抜き、刺しては抜き。
ただそれだけを繰り返すロボットのようだった。
「梨瑚…っ」
「やだ…翔平ちゃんが…!!」
「俺は死なない…梨瑚置いて死なないから」
「痛いよねっ、痛いよねっ、ごめんねわたしのせいで、ごめんなさ…っ」
「梨瑚…、」
「やだ…っ、美華さ、やめて…!!」
「梨瑚!!」
どうしたらいいのか。
わたしには分からない。
翔平ちゃんに謝って、美華さんにはやめるように促して。
頭の中が真っ白で。
「俺だけ見てて、こわく…ないから…っ」
「翔平ちゃん…っ」
「ほら、だいじょ…うっ!」
わたしを不安にさせないように。
精一杯平然を装う翔平ちゃんに、わたしは何もしてあげられない。
わたしは…なんて無力なんだろ…。