アナタと、キスと、銃声と。
…バタバタと慌ただしい、いくつもの足音が聞こえてきた。
「おい!やめろ!!」
その声が聞こえたのと同じくらいに、わたしの視界から美華さんが消えた。
目の前には、翔平ちゃんだけ。
すごい汗をかいてもなお、わたしのことを強く抱き締め続けていた。
「おい!翔平!大丈夫か!!」
「透…おせーよ…」
後ろに顔を向けてそう言った瞬間、翔平ちゃんの体がわたしに倒れ込む。
わたしなんかじゃ支えられないくらい重たい。
「翔平ちゃん…!!」
「翔平!おい!救急!急げ!!!」
目は虚ろ、視点が合わない様子だった。
名前を呼びながら体を揺さぶる。
だけどしっかりした返答はかえってこない。
……翔平ちゃんが居なくなっちゃう。
それが、現実になりつつあることを感じた。