アナタと、キスと、銃声と。
「……梨瑚」
そう呼ばれて手を掴まれた。
「…翔平ちゃん?」
「ここに居て」
わたしよりずっと大人な翔平ちゃんが、その一言で可愛い子どもに見えた。
…何この可愛い生き物…。
キュンっとする胸が痛い。
そんなことされたら……帰るわけに行かない。
「ここに居て欲しいの?」
「…ん」
「泊まっていけってこと?」
「……ん」
「翔平ちゃん、可愛すぎる」
「うるさい」
耳まで赤くした翔平ちゃんが可愛すぎる。
自然と口元が緩んでしまう。
「長谷川、お父さんに言っといて」
「承知しました」
長谷川は微笑んで、一礼してから病室の扉を閉めた。