アナタと、キスと、銃声と。
「梨瑚、おかえり」
「「「「おかえりなさい!!」」」」
家に着くと、いつも通りみんながお迎え。
大きな絆創膏をしている者もいれば、骨折しているのか首から白い布で手を吊り下げている者もいた。
その真ん中にはお父さん。
お父さんには目立った傷はない。
「ただいま」
そう言うとお父さん以外の人がみんな頭を下げる。
死亡者は出なかった。
車の中で翔平ちゃんにそれだけを聞いた。
安堵で体の力が抜ける。
お父さんの元気そうな姿を見てまた安心する。
またしばらくは…安心、かな。
「お嬢の好きなおやつ、用意してますよ」
翔平ちゃんがそう言ってわたしの右側に立つ。
またそうやって、おやつでつろうとする。
わたしもう子供じゃ…。
「芋けんぴを」
「芋けんぴ!?!?」
心が踊る単語、“芋けんぴ”!!!