アナタと、キスと、銃声と。
知らないって…。
平日の午後と言っても、ここは病院で。
行き交う人の中、見られても別にいいと言うようにずんずん進んでいく。
もっと、ずっと厳しい世界で生きてる翔平ちゃんにとって、そんなことはどうでもいいんだ…。
「うち、帰るの?」
「ん、今日はもう疲れたから、お昼寝付き合って」
病院の前に止まってあった、長谷川の運転するいつもの車に乗り込む。
「家までよろしく」と言うと、「はい」っと浅く一礼して。
「梨瑚さんも一緒なんですね」
「えっと…これにはいろいろ…」
「翔平さん、よかったですね」
「長谷川、うるさい」
「失礼しました」
ゆっくりと走り出す車。