アナタと、キスと、銃声と。

小さい頃は。






「しょーへーちゃんの体、いたいいたい…」






よくうちの庭でビニールプールをしていた頃。


水着姿のわたしと遊ぶために、一緒に翔平ちゃんも水着を着て遊んでいた。






「大丈夫ですよ、お嬢」


「やだ!りこ、こわい!!」




両手を伸ばしてくる優しい顔した翔平ちゃんが怖くて、全力で泣いたっけ。


翔平ちゃんがなんだか、知らない人になったみたいに思えて。


もちろん、小さい頃のわたしだって刺青は当たり前に見ていたし、怖いだなんて思ってなかった。


むしろ、体に絵を書いているなんて可愛くて、羨ましいほどだった。


でも翔平ちゃんの刺青は。


怖い顔をした虎が背中全面に描かれていて、肩も覆うほどに桜の花が散っていて。


普段は見えないところにしてあるから、平気だったけど、いざ目の前にあると怖くて。


それ以来、わたしの前では絶対に刺青を見せることはなくなっていた。






「いつの話してるの」


「俺、結構傷ついたんですよ」


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