オタクですけど、何か?~友情編~



◆◇◆


午後から降り始めた雨は止むどころか勢力を増していた。

急に降りだしたこの雨のせいで、雨空に文句を言いながらも近くのコンビニへ傘を求めて走る生徒もいれば、潔く歩いて帰宅する生徒もいた。


「今日1日晴れて過ごしやすい天気になる」

という、お天気お姉さんと予想天気図を信じて傘を持たずに家を出た人はどのくらいいるだろう。

今ごろ知り合いでもない他人の言う事を聞いたバカな自分に落胆しているに違いない。

まぁ、僕は折り畳み傘を常備しているからチャ~ラ~ヘッチャラ~ですけどね。
※オタクの脳内はいつもお花畑です。

折り畳み傘を学校指定のカバンから取り出し、下駄箱から取り出した自分のスニーカーへ足を通す。

一緒に帰ろうとしつこかったトリプルAを蹴散ら…なんとか振り切り、やっとの思いでここまで辿り着けた。

今日はバイトも休みだし、録り貯めしておいたアニメをゆっくり堪能するという楽しみな予定がある。

スキップしたい衝動を堪えて目指せマイホーム。


「むっ!?」


外へ通じる昇降口の硝子戸を明けてすぐ、踊らせていた胸が一時停止した。

いや、僕の中で時間が止まった。


「止みそうにないなぁ…どうしよう…」


苦い顔で天を仰ぐ1人の女子生徒。

その横顔が、


「朱……美、…」


大好きなキャラ、朱美にすこぶる似ている。




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