若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
言葉を失った佳織が茫然と見つめるうち、誓いのキスが終わり、新郎と新婦は歓声と拍手に包まれる。

「幸せそうですね」
矢神の声に我に返ったように、佳織はポカンと開いたままだった唇をキュッと結んだ。

「心配なのはわかりますけど、大丈夫ですよ。子供じゃないんだから」
「わかってます」

「向葵さんがいい子なのは、よく知っていますよ。何しろあなたよりずっと前から彼女を知っていますからね」

――それでもあなたは知らないから。
彼女はキスもしたことがないって言っていたんですよと、心の中だけで抗議する。

「純粋なあの子が恋をして、傷ついたらどう責任をとってくれるんですか」

「結婚以外の責任の取り方って何でしょう?」

「――え?」

「責任取って結婚しろというのならわかりますが、結婚していますしね」

「き、詭弁です。そんなの」
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