若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)

  ***

――私の初めてを、好きな人に。
いま、向葵は、心からそう思った。

友だちの初めての経験を聞いたのは、高校一年生の時。
クリスマスのあくる日、友達のカノンが頬を染めて言った。

『彼とね、ついに、しちゃった』
カノンの彼は高校の先輩で、カノンは本当に彼のことが大好きだった。あの頃の自分は、まだまだ子供だったと思う。よかったね、カノンって無邪気に喜んだ。

でも、それから数日後、その彼が、カノンとしたことを得意げに友達に話ているのを偶然聞いて、同時に彼には他にも付き合っている子がいることも知ってしまって、向葵とカノンは抱き合って、ポロポロ泣いた。
『でもね、向葵。私、後悔はしないよ。ほんとうに好きだったの』

いま一番の親友、夏梨の場合は違う。
夏梨はそれほど好きじゃなかった相手に、半ば強引にさせられたらしい。
『許せないけど、そんなことをいつまでも気にしていたら、前に進めないでしょ。細胞は毎日生まれ変わるんだから。本当に好きな人とした時が、私の初めての日になるの』

どちらの友人の話も、もっともだと思った。
女の子にとって初めての記念日は、本当に好きな人との経験。

自分の場合はどうか。
幸か不幸か、向葵の場合は、いままでそういう状況になったこともない。なので全ては想像の産物で、漠然としかわからなかった。

でもいまならわかる、ふたりの気持ち。
心から好きな人と、そうなりたい、という切なる想い。
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