若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
『なんでもいい、君がほしい物を考えておいてね。僕と結婚をしてくれたお礼にプレゼントをしたいから』

彼からそう言われた時、物なんて、なにひとつ浮かばなかった。

胸に込み上げた想いはひとつ――。


昨夜ディナーのあと、ウッドデッキで彼とふたり、ワイングラスを傾けた。
そんなに強くないアルコールの力を借りて、思い切って向葵は、言った。

『ほしいもの、考えたんです』
これから言いだすことをなにも知らない彼は、うんうんと頷いた。

『夕翔さん。明日結婚式のあと、私を抱いてくれませんか』

彼は驚いたのだろう。
一瞬、目を見開いて、慌てたように視線を泳がせた。それから腕を組み、右手を顎にあてて下唇を噛んだ。

彼は困っている。
それはそうだろう、困惑するのも当然だと思いながら、それでもそんなふうに、彼に困られたことが悲しくて、冗談ですと言おうと口を開けかけた時。

『もちろん、僕はそれでいいけど、君は本当にいいの?』
心配そうに。彼は身を乗り出して、そう言ったのである。

『はい』と答えた向葵に、夕翔はにっこりと微笑んだ。

それから手を伸ばし、向葵の前髪を指先でなぞると、顎に指をかけた。

『明日の練習ね』
と言って、ふいに重ねられた唇。

『もし気が変わったら、ちゃんと言うんだよ』
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