若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
もともと矢神は地方の営業部に所属していた。

ある日、当時取締役のひとりであった彼――月井夕翔、に呼び出されて一枚の紙を渡されたのである。
彼は『これから一年間で、このリストにある企業を回るように』とだけ言った。

その後発表されたのは都内でも下請けに出向というまるで降格人事。皆に同情されながら見送られた。
自分でも現場を知るという大義名分のもとでの派遣だと解釈していたが、それはごく一部の人間しか知らない。

一年後には秘書課で創業者一族の御曹司である月井夕翔の第一秘書になる身の上であることは人事部長から密かに伝えられたことで、他言無用の秘密であり、あくまでもいち契約社員という立場の作業員として関連会社から派遣されていたのである。
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