若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
テレビもろくに見ないでそのままベッドへ、なんてこともあったりて。

『好きだよ、向葵。君は本当にかわいいな』
キャー。

向葵はシーツをギュッと抱きしめた。

『なんでもいい、君がほしい物を考えておいてね。僕と結婚をしてくれたお礼にプレゼントをしたいから』

パリを走るリムジンの中で夕翔にそう言われた時、向葵は自分がほしい物はなんだろうと考えた。
彼が例にあげたのは、お金、別荘、宝石。そのひとつひとつを頭に描いてみたけれど、どれもピントこない。もちろん何をもらってもうれしいとは思うが、自分から言ってまで手に入れたい物などなにもなかった。

――私がほしいもの。
答えを探し、向葵が行き着いた先。脳裏に浮かんだのは、夕翔の姿だった。

宝石もなにもかも彼の存在の影となり、霧となって色あせて消えてゆく。
いまほしいものは形ある物じゃない。彼の心……。

でもそれは神ですら叶えられない。切ない願いだ。
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